キャット探偵事務所(3)
結局ジャデンラスに向かうことになったチーズたち。二時間半の時間をかけ、ついに到着した。
ここから先はジャデンラス地区立入禁止と書いてある立て看板の先に見える景色は、森林が生い茂って先を進んでみなければなにがあるかわからなかった。
ミカサ「ついに着きましたね。ここまで来たら僕も行くことにします。車で入っていっても大丈夫ですよね?」
フラワー「どんな道になってるかわからないけどなー。車が侵入できないとこに出るかもしれないしなー」
ミカサ「車ここに置いてパクられたら洒落なんないんで、行けるとこまで車でいきましょう」
森林を抜けると、町が見えた。
ミカサ「意外と普通な感じのところですね。今のところ人の姿が見えませんけど」
チーズ「俺には廃虚のように見える。かつてはここで人々が生活をしていた」
フラワー「この辺の家適当に訪ねてみるかー」
チーズ「やめとけ」
フラワーは民家に向かった。
ミカサ「行っちゃいましたね」
チーズ「あほが」
フラワーは古びた一軒家の玄関の前にいた。
フラワー「こんにちわー誰かいるかよーん!豪滝厳造って知ってるかー」
反応はなかった。
フラワーは玄関の扉にふれると戸が空いた。
「ほげーちょっとお邪魔するぞ」フラワーは家に入った。
フラワー「やっぱ誰もいないかー」
「お前何やってんだ」チーズとミカサが家に入ってきた。
チーズは家の中を見渡して言った。「なんか全体的に古いな。家具とか電化製品も一昔前のものだ」
ミカサ「確かにそうですね」
フラワー「物を大切にする住人なんだろー。冷蔵庫開けてみっか」
フラワーは冷蔵庫を開けた。「すっげぇ腐ってるものは入ってないなーセーフセーフ。でもこの瓶の中色がヤバい開けちゃまずいぞ。消費期限は94て、1994年かー。結構昔だなー」
チーズ「カレンダーも1995年になってる。やはり人間はずっと生活していない、廃墟だ」
ミカサ「他の家もこんな感じなんですかね?」
チーズたちが一軒家を出たときだった。
「こらっ」とチーズたちに向かって誰かが言った。
老人の姿がそこにあった。
フラワー「ほーげー、すまんすまん爺さんの家だったか?ちょっと道を尋ねようと入っただけよーん」
爺さん「ワシの家じゃないわい。だが勝手に人の家に入るのは感心せんぞー」
チーズ「この家には長い間人が住んでいないんじゃないのか?」
爺さん「そうじゃ。まぁここだけじゃないがのお」
チーズ「この町全体ということか?」
爺さん「ジャデンラス全体にほとんど人はいないのおー。ワシを含め50人くらいしかいないんじゃないか。まぁジャデンラスなんてあとから人が勝手に付けた地名だがのお」
チーズ「俺はチーズという者だ」
フラワー「私はフラワーよーん」
ミカサ「ミカサと言います。どうも」
チーズ「あんたの名は?」
「ワシは神じゃ。はっはっはっはっ」と老人は笑った。
シーーーーーーン
フラワー「ほーげー、じゃああんたはこれから自称神爺、略してジカジーと呼ばせてもらうぞ」
ジカジー「好きなように呼べ。はっはっはっは」
チーズ「自称神の爺さん、なぜジャデンラスから人が消えたんだ?」
ジカジー「ジカジーでいいぞ。チーズさんよ、あんたそんなことより、何か用があってここに来たんじゃないのかね」
チーズ「ジカジーさん、豪滝厳造という男は知ってるか?」
ジカジー「豪滝厳造、実にろくでなしな男じゃった」
チーズ「いるのか?ジャデンラスに」
ジカジー「なぜ会おうとしている?」
「豪滝に荷物を渡して欲しいという依頼があってな。車に積んである」と言ってチーズは車を指差した。
ジカジー「その荷物ちょっと見せてくれるかのお」
チーズ「いや、危険なものかもしれないんだ。見せられない」
ジカジー「まあええから、持ってきてみなさい」
チーズはしばらく黙ってから「ミカサ、持ってきてくれ」と言った。
ミカサが荷物を持ってきた。
ジカジーは荷物のそばに行き荷物を見つめると、「ふふっ、お主ら、こんなものにビビりおって」と言うと持っていた杖を振り上げて、荷物に向かって叩きつけた。
ドッと鈍い音がした。
「おおおおい、じじいー何やってんだー!!!」ミカサがジカジーに詰め寄った。
ジカジー「この間抜けがっ!箱を開けてみい!」
ミカサ「は?」
チーズはジカジーが箱の中身を知っているのではと思い始めた。
ジカジー「根性なしが、開けられぬか」
ミカサ「いや、根性なしとかそういう問題じゃ・・・」
「私が開けるよーん」と言ってフラワーが箱を開けようとした。
ミカサ「フラワーさん、ちょっと!」
フラワーは箱を開けた。中には木材がたくさん入っていた。
フラワー「ほーげー、爆弾じゃなかったなー」
ミカサ「いや、下の方にあるんじゃないですか?」
フラワー「じゃあ、この木を全部箱から出してみるよーん」
箱から木材を全部出しても、結局爆弾は見つからなかった。
チーズ「ジカジーさん、すべてあんたが仕組んだことか?」
ジカジー「そうじゃ。おぬしらをここに呼ぶことが目的じゃった」
チーズ「じゃあ、豪滝厳造はやはり既に死んでいるのか?」
ジカジー「チーズさん、お主が豪滝を崖まで追いつめて、豪滝が海に落ちた。じゃが、それで豪滝は死ぬことはなかった。だから死体は見つからなかったじゃろ?」
チーズ「その後、豪滝はどうなった?」
ジカジー「知りたいなら、わしに付いてきなさい」