中古のスカウター

俺は意識高い系下級戦士ソルジャー。最近一人前の戦士ならやっぱりスカウターのひとつでも持ってなきゃいけないなと考えている。しかしスカウターの値段は高く、貧乏人の俺にはなかなか手が出せない代物だ。

 

ある日のこと、ネットで安いスカウターがないか探していたとき、中古で18000円のスカウターを見つけた。「や・・・安い。しかもエリート戦士のあのお方の初期の戦闘力と同じ値段とは・・・」だがレビューは星一つしかついてないぞ。しかも「ゴミですね」の一言しか書かれていない。どうする買うか?もし本当にゴミのような不良品だったら・・・ええい!買ってしまえ!

 

俺はこの中古のスカウターを購入した。

 

一週間経ってやっと届いた。待たせやがって。さっそく箱から取り出してみた。「おっ、結構いいんじゃない。傷も目立たないし」これはいい買い物したかもしれないな。だが安心するのは早い。ちゃんと動くかさっそく確認しよう。

 

俺はスカウターを手に入れたらやってみたいことがあった。それは自分の戦闘力を調べること。だがそうするには他人にスカウターを渡して俺を見てもらう必要がある。友達の誰かに見てもらうか?だけどすげえ低い数値だったらどうしよう。馬鹿にされそうで恥ずかしいな。自分で自分を計れないのかな?「あっ、そうだ」

 

俺は鏡の前に立ち、スカウターを装着し、スイッチを押した。・・・・・・駄目だ。やっぱり反応しなかった。もういいや外に出て人の戦闘力を見てみるか。

 

家の近所でスカウターをつけていると変な奴に思わそうで気まずいので、ちょっと離れた繁華街でスカウターを使ってみることにした。

 

俺は繁華街でスカウターをつけてぶらぶら歩いた。うわー思ったよりも人に見られてるよー。気にしない。気にしない。ん?よぼよぼの爺さんがベンチに座ってるな。あの爺さんの戦闘力でも調べてみるか。もしかしたら戦闘力が低すぎて計測不能になるかもしれないな。

 

俺は爺さんの方を向きスカウターのスイッチを押した。ピピッ

 

!!!?せ、戦闘力725だと!?この爺さん一体なにもんだ?なんとか仙人とかなんとか老師的なやつか?全然強く見えねえけど、人は見かけによらねえな。

 

よし次行くか。あんまりスカウターつけて人の前によりたくないが、仕方ないよな。気づかれないように自然な感じで計測できればいいんだがな。

 

「おい」後ろから突然声をかけられた。振り返るとがたいのいいモヒカン頭の革ジャン野郎がいた。

「なにてめえスカウターのおもちゃなんかつけてんだよ。いい大人がよ」とモヒカン野郎は言った。そうだこいつの戦闘力でも計るか。

「これはおもちゃなんかじゃねえぜ。本物のスカウターだ」と言ってスカウターのスイッチを押した。ピピッ

 

戦闘力3?なんだこいつすげえ弱いじゃねえか!

「今お前の戦闘力を計測した。3しかなかったぜよえー笑」

「は?馬鹿にしやがって!俺様の右フックをくらえ!!」

右フックが俺の顔面に直撃した。俺はその場に倒れた。めちゃくちゃ痛い。

「へっ、このおもちゃのスカウターは俺が貰っとくぜ。いいアクセサリーになるぜ」スカウターを奪いモヒカン野郎は去っていった。

 

俺は倒れながら思った。俺が買ったスカウターやっぱり不良品じゃねえか。さっきのよぼよぼの爺さんが725もあって、いかにも強そうなモヒカン野郎が3しかないってどう考えてもおかしいしな。

 

ボンッ!倒れながら考えていると変な音がした。俺は立ち上がり、人だかりになっている方に向かった。

 

さっきのモヒカン野郎が右の耳のあたりから血を流し、倒れていた。どうやら俺から奪って装着したスカウターが爆発したらしい。あぶねえ、ずっとスカウターを装着してると自分がこうなってたかもしれねえ。やっぱ怪しい中古のスカウターは買うもんじゃねえな。